ロックンロールは聴こえるかい?
【沖縄おじさんの人生遍歴ブログ Vol.47】
沖縄に帰ってきてから加入したバンドでは、月に1回くらいのペースでライブをしていて、県内のいろいろなバンドと対バンしました
sanboo.hatenablog.jp正直に言うと最初は、ノルマのハードルが高い大阪で活動してきた経験があるおじさんにとって、沖縄のバンドマンの環境は生温いなと思っていました
大阪だと1バンドのノルマが40000円なのに対し、沖縄ではハコにもよりますが10000円程度で大阪の4分の1でした
当然、金銭的なリスクが少なくなるとハングリー精神も違ってきます。大阪のバンドのように、他のバンド目当てのお客さんであってもいいライブを見せて奪ってやるというギラギラ感もなければ、対バン同士もライバルというかはみんなでいいイベントを作っていこうという雰囲気で、身内的なノリを感じました
ただ、ハングリー精神と音楽の良さは比例するものではありません。もともと音楽が好きな県民性もあると思うんですが、沖縄にも才能溢れた素晴らしいバンドはたくさんいました
とある日のライブで、The Bye-beesというバンドと対バンしました
そのバンドは、ギターはちょっと悪そうなイケメンで、ベースは男の色気たっぷりで渋くて、ドラムはちょっと気だるそうな雰囲気がかっこ良くて、ボーカルは身長が低い坊主頭の細身で、イギリスのモッズファッションのようにスタイリッシュで、
それでいてミッシェルのように全員がスーツ姿でびしっと決まってて、まず見た目に一目惚れしました
いざ音を鳴らすと、めちゃめちゃかっこいいロックンロールで。みんなそれぞれ音に乗って暴れて、演奏力もハイレベルで、しかも全員がコーラスできるのでメロディーの厚みもすごく、シンプルに曲がいい
何よりボーカルの声質、ステージング、声量、表情、すべてがもの凄くて、ボーカリスト、フロントマンとしては大阪や沖縄で観たどのバンドよりもズバ抜けていました
厳密に言うと、前にも一度、すごいボーカリストと対バンした事がありました
そのバンドは、大阪でバンドをやっていた頃、帰省ついでにメンバーを連れて沖縄でライブをした時に対バンした、THE RED GORILLA KICKというバンドで
実はそのバンドのボーカルは、今のThe Bye-beesのボーカル、コウダケンジでした
一目で好きになったおじさんは、ライブ後すぐにThe Bye-beesのCDを買い、ボーカルのケンジさんに話しかけました。ケンジさんもおじさんのバンドを気に入ってくれたのと、大阪時代のバンドで対バンしたのも覚えてくれていて、すぐに仲良くなりました
それから何度か対バンする機会も増え、おじさんらのバンドが企画するライブにも出てもらいました。ケンジさん以外のメンバーとも仲良くなり、おじさん一人とThe Bye-beesの4人と飲みに行った事もありました
一方、おじさんが所属していたバンドは、次第にライブがマンネリ化していったのと、このバンドでの曲作りに限界を感じ、メンバーと話した上で脱退する事になりました
脱退したもののバンドに対する情熱はまだあったので、また別のバンドを組もうと思ってました
一番やりたいのは、大好きなThe Bye-beesのようなバンドでした。正直、何かの理由でドラムが脱退してくれれば加入したいとすら思ってました
そんなある日、The Bye-beesのケンジさんから突然、うちで軽く飲まない?と誘われました
2人だけで飲んだ事もないし、ケンジさんの自宅に行った事ももちろんありません。めちゃめちゃ緊張しながら教えてもらった自宅に行きました
当時、ケンジさんには奥さんと2人の子供がいました。ちなみに今は子供5人の大家族です
奥さんが作ってくれた手料理と、わざわざとってくれたお寿司を食べながら、バンドの話などたわいもない話をしていました
ケンジさんはステージでの姿と同一人物と思えないほど、普段はとても穏やかで、優しくて、おじさんは人間的にも大好きでした
ケンジさんとバンドがやれたら楽しいだろうなーと思いつつも、The Bye-beesという素晴らしいバンドがあるので、おじさんが入り込む余地なんかないと思い、自分の気持ちに蓋をしていました
バンドメンバーとの関係性って不思議なもので、友人のような、恋愛のような、家族のような感じで。その時のおじさんの感情は恋愛そのものでした
そうしてしばらく話していると、ふとケンジさんが意を決したような、恥ずかしいような複雑な表情になりました
そして
「あの…今バンドやってないならさ、良かったら一緒にやらない?」
と言いました
その時のおじさんの気持ちを何と言い表せばいいのか…恋愛こじらせ童貞中学生が、みんなの憧れのマドンナから告白されたようなとも言えばいいのでしょうか
あんなかっこいい、憧れのケンジさんと、一緒にバンドができるなんて!
まさに、天にも昇る気持ちでした
もちろん、即答しました!そして堰を切ったかのように、おじさんも一緒にやりたいと思っていたこと、最初観た瞬間から今まで、どれだけケンジさんの事が好きかなど、 痛々しいほどの思いを伝えました
嬉しい事に、ケンジさんもおじさんのドラムプレイを好きでいてくれて、前から一緒にやりたいと思ってたそうです。なんて幸せなことなんでしょう!
そうやって2人で始めたバンドは、名前やメンバーを替え、「THE EXPIRATIONS」として活動していくのでした
ケンジさんと一緒のバンド活動は、本当に楽しくて、貴重な経験でした
今はもうそのバンドでは活動していませんが、あのバンドでの日々はおじさんにとって、かけがえのない素敵な思い出です
ちなみにケンジさんは今でも、「コウダケンジ&ザ・タイラーズ」というバンドで活動しています。40歳になっても、5人の子供と奥さんを養いながら、趣味でバンドを続けています
ケンジさんと一緒に活動した事で、売れるために必死でギラギラしている大阪のバンドが凄くて、沖縄のバンドは生温いと思っていた事が間違いだと知りました
売れる、プロになるという目的のためじゃなく、音楽が、ライブが好きだから、いくつになろうが家庭や仕事があろうが、バンドを続ける
ある意味、それこそが一番、音楽に対して純粋な姿なんじゃないんでしょうか
今でもケンジさんは俺の中でのロックスターです
一度聴いてみたら、みんなもわかると思うよ
♪今日の一曲
ロックンロールは聴こえるかい? / コウダケンジ&ザ・タイラーズ
【手作りおつまみシリーズ】
材料費200円 塩焼きそば