童貞ソー・ヤング
【沖縄おじさんの人生遍歴ブログ Vol.13】
高校一年生、16歳の夏。おじさんは、童貞でした
その頃は、どうしても童貞を卒業したくてたまりませんでした。どうすれば卒業できるんだろうと、もう四六時中、もはやその事しか考えらない状態になっていました
そんなこと書くと、「うわ、ここにきて突然下ネタかよ。サイテー」とか、
「それって性犯罪者の思考じゃん。こいつヤバッ」と思う女子の方もいらっしゃる事でしょう
えぇえぇ。お気持ちはわかります
ただね、一つ言わせて下さい
16歳の童貞男子なんて、
みんなその事ばっか考えてますから
あなたの大好きな彼も、尊敬する上司も、憧れのあのタレントも
若い頃はみーんな、頭の中は
「童貞を卒業したい!」
それだけです
おじさん、それだけは声を大にして言いたいです
そんなこじらせクソ童貞野郎だったおじさんは、同じく童貞の友人と、どうすれば卒業できるんだろうと毎日頭を悩ませていました
彼女を作ろうにも、同学年の女子は先輩にばかり憧れてて見向きもしてくれない
他の学校の女子と出会いたくても、出会う手段がない
バイト先にも、いけそうな女子がいない
一体どこでどう女子と出会えばいいんだ、と嘆いていると、友人が
「やっぱさ、国際通りに行くしかないあんに?」
と
「国際通りって、観光客が多いやっし。夏に沖縄に旅行に来て、開放的な気分になってると思うわけよ。心も開放的だったら、身体も開放的になるあんに?」
今思えばほんとクソみたいな会話ですが、その時のおじさんには、彼がまるで人類を救うとてつもない発明をした天才のように見えました
それだ!それしかない!と、こじらせバカ童貞猿野郎二匹は、「夏の国際通りでアゲアゲ女子とバイバイ童貞ようこそ大人の男の仲間入り作戦」を決行するのでした
8月のある土曜日、宜野湾からバスに乗り夜9時に国際通りに着きました
まずはコンビニに立ち寄り、カルピスチューハイを購入
「いいか、今日は童貞最後の夜だからな。明日の朝には俺らは卒業しているから」
と、童貞最後の夜に乾杯しました
ちなみに当時の沖縄は治外法権だったので、未成年の飲酒は禁じられていませんでした※注
意気揚々と国際通りに繰り出し、まずは下見がてら、国際通りを一往復すると
天才の見立て通り、肌を露出し開放的な気分になった観光客女子がたくさん
これはいける、と期待に股間を、じゃなく胸を膨らませました
いよいよ作戦決行の時。まずは女子に声をかけない事には始まりません。次に見つけた女子に声をかけよう、と決めて再度国際通りに繰り出しました
少し歩くと、向こう側から二十歳ぐらいのかわいらしい女子2名が歩いてきました
よし、いくぞ。と互いに目で合図をし、女子に向かい歩いていきました
女子との距離が近づくにつれ、心臓はバックバク、喉はカラッカラ、身体は息をするのも難しいほどガッチガチに。そしてついに女子との距離が3メートル…2メートル…1メートルと縮まり
…気がつくとすれ違っていました
「えー!何で声かけないば!」と同時に声を発する猿二匹
考えたら、我々にはナンパをする度胸がないという、致命的な弱点がありました…
それから、国際通りを何往復し、何人の女性とすれ違い、「次こそ行くぞ」「えーー!何でいかんば!」を繰り返してきた事か。目標達成の兆しすら見えず、ただただ時間だけが過ぎていきました…
そうこうしているうちに時刻は深夜2時。ついに千載一遇のチャンスが訪れました
何杯目かのチューハイを持って歩いていると、向こう側から20代後半くらいの女子3人組が歩いてきました
3人ともハイテンションで、中でも1人は明らかにベロベロに酔っぱらってて、見るからにいけそうな感じでした
ドキドキしながら歩いていくと…ベロベロ姐さんがなぜかおじさんに向かって歩いて来ました
最初は気のせいかな?と思ってたけど、次第に明らかにこっちに向かって歩いてきて…えっ?と思ってるうちについに目の前に達し
次の瞬間、おじさんが持っていたチューハイを取り、すれ違って歩いていきました
突然の出来事に一瞬呆然としたものの、このチャンスを逃してはいけないと思い、ベロベロ姐さんを追いました
どうしよう、何か言わなくては…とめちゃめちゃテンパったおじさんが発した言葉は
「あの…返して下さい」
我ながら、なんというヘタレっぷり…。こんなやつが童貞卒業なんてできるわけがありません
「ハハハー、ごねんねー」と豪快に笑い、チューハイを渡してベロベロ姐さんが去った後、友人は何とも言えない目でおじさんを見ていました
空が白み始めた朝5時。ただただ童貞こじらせ度が上がっただけの猿二匹は、一言も発さずに始発のバスに乗って帰途に着くのでした…
※注 そんな事はない
♪今日の一曲
童貞ソー・ヤング / GOING STEADY